犬の癌検査について
ご存知でしたか?
動物病院で「癌検診」は行ってません!
血液検査で安心している飼い主さんは多いのですが、現在の獣医学では、血液で癌を見つけることはできません。そもそも、血液検査の項目に「癌」はありません。
そこで、動物病院で「癌」を調べようとすると、高額な装置による検査(CTやMRI)が必要になります。
これらの検査は癌が疑われてから「診断」に使うもので、癌の可能性を調べる「検診」には不向きです。
外見上の異常がないのに、全身をCTやMRIで調べて癌を探すことはしませんよね? また、CTやMRIには麻酔が必要だということも、ぜひ、知っておきましょう。
このような理由で、動物病院では「癌検診」ができないのです。「癌検診」が簡単にできれば、死亡原因第1位と言われる「癌」で亡くなる犬は減ってくれるかもしれません。 実は、そんな声に応えて登場したのが「Pee Check!」なのです。
「Pee Check!」はここが違う!
病院の検査と「Pee Check!」の違いをまとめました。
病院の検査 | Pee Check! | |
---|---|---|
どんな検査? | 画像検査 | マーカー検査 |
検査方法は? | CT、MRI、PETなど | 尿検査 |
検査に必要なことは? | 麻酔と麻酔薬用血液検査 | 採尿 |
何が分かるの? | 腫瘍の部位、大きさ | 悪性腫瘍、炎症の可能性 |
分らないことは? | 良性か悪性か | 腫瘍の部位、大きさ |
どこでするの? | 病院 | 自宅 |
だれがするの? | 専門の獣医 | 飼い主自身 |
いつするの? | 癌が疑われてから | 日頃の健康チェックで |
何をみつけるの? | 進行した癌 | 早期がん、炎症 |
時代は変化しています。
最近では、衛生状態や栄養状態、医療環境が向上し、人間のみならず犬の高齢化も進んでいます。寿命が延びた分、沢山の病気と闘う必要が生じたとも言えるのです。
高齢化が進む現在、生涯を通して癌を予防することは困難かもしれません。しかし、早期発見できれば治療の道が開かれる時代になったのも事実です。人間と同じく、癌は早期発見こそが唯一最大の防衛方法なのです。
今の時代だからこそ、愛犬のためにできることを考えましょう。
専門的な話ですが・・。
なぜ検査をするのでしょう?
犬は言葉を話しませんから、自分の体調を伝えてはくれません。しかも、飼い主の前では気丈に振舞うという健気な性質を持っています。信頼の厚い飼い主ほど、愛犬の癌を見逃しかねないのです。
外観から様子がおかしいと気付いたときには、既に癌は進行しているケースがほとんどと言われ、治療効果も上がりません。約半数の犬が癌で死亡するという現実を裏付けています。しかし、愛犬を癌から救うことは本当に不可能なのでしょうか?
例えば人間の場合、便を使った大腸癌検査が普及しています。この簡便な検査が普及したために大腸癌の死亡率は7割も減りました。早期発見が可能になったためです。検査の重要性をご理解いただけると思います。
愛犬の癌についても、真剣に考えてみましょう。
癌マーカーについて
人間の健康診断でも同様ですが、通常の血液検査や尿検査で癌を発見することは容易ではありません。血液検査はあくまでも健康上の問題を見つけるためのものであり、我々人間の場合でも、癌診断には特別な方法を行いています。
最近ではPETやCT、MRIも普及してきましたが、そこまで大掛かりでなく、比較的簡単に使われるのが癌マーカーです。人間の場合、癌によって約20種類ほどが実用化されています。
専門的ですが、血液中に存在する癌マーカーの多くはゲノムから作られるタンパク質の一種です。ゲノムとはその動物種の全遺伝子情報のことで、勿論、人間(Homo sapiens)と犬(Canis familiaris)とでは大きく異なっています。
そのため、血液を使う人間用の癌マーカーを、犬用の癌マーカーとして共通に使うことはできません。生物学的にも物質的にも同じものではないからです。
なぜアセスミンなの?
「ピーチェック!」で用いるアセスミン検査は、もともと尿中に排出されている体内の老廃物が、癌細胞によって少し違った化合物に変化する現象に着目しています。血液ではなく尿を使うポイントがここにあります。
生体内の老廃物はゲノムとは関連性がないため、人間でも犬でも共通するものが多く、癌細胞によって受ける変化も共通します。
犬については、尿中アセスミンと癌とに高い相関関係が見られ、犬の癌早期発見に有効な手段であることがわかりました。
アセスミンやその類縁化合物が、人間でも癌のマーカーになり得ることが研究的に示されていますが、それがどの程度有効であるのか、今後の試験が待たれています。
当社では、「ピーチェック!」事業により判明する、犬についての有効性データや独自に開発した検出手法が、将来、アセスミンを人間の癌検診に応用するための重要なノウハウになると考えています。健康診断時の尿検査で早期癌がわかるようになれば、その社会的貢献度は計り知れません。早期発見で愛犬を癌から救うことで、今度は、あなたの愛犬が我々人間を癌から救ってくれるかも知れないのです。
これまでの取り組み
癌とアセスミンとの関係について研究しました
様々なグループに分けて、尿中アセスミンの量を測定しました。
- アセスミンは幼犬で高値を示すため、疾患との明確な区別は困難と考えられました。そのため、本検査は1歳以上が対象となっています。
- 癌確定診断(細胞診)グループと正常所見グループ間で有意差を認めました。 癌グループでも炎症グループと同程度のアセスミン検出量のケースがあるため、癌と炎症を区別するために一定期間後の再検査が必要と考えられます。
- 血液癌グループは固形癌グループより高値を示すことがわかりました。今後は、癌の種類ごとの違いを調べる必要があります。
- 炎症(CRP、白血球上昇)グループではアセスミンの上昇が確認されました。炎症性であっても一過的に大量のアセスミンが排出されます。一定期間後の再検査で値が下がれば炎症性アセスミンと考えられます。
これらの研究成果の一部は国際学会にて発表済みです。
犬を家族同然に考える米国での発表だったためか、本成果に非常に多くの反響が寄せられました。
次に一般の家庭で飼われている愛玩犬の検査結果を集計しました
アセスミンの値について集計したところ・・・
驚くことに約半数のケースでアセスミンが上昇していました。
外見からは分らない健康上の問題があるようです。
獲得星数が多いほど健康です。 総合検診を受けた犬全体の39%に疾患の懸念が考えられました。
逆に、健康と考えられたのはわずかに46%でした。
・特に目立ったのは尿石症リスクの高まっているケースでした。
・アセスミンの上昇が伴うケースも少なくありませんでした。
ワンちゃんの健康状態は必ずしも良好とは言えないようです。
比較的異常値の多い項目は、炎症と結石のリスクでした。
これらは、日頃の健康管理で改善が可能な項目です。